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目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

第4章
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Episode 50 第50話 後編「マスターをよろしくお願いします」
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by JIRAIYA
《オブロ地下第十階層オーブン隊》 「司令部、こちらオーブン隊。ボス部屋の手前の部屋に、黒いバスターペンギンと思しきものを発見。マコさん、ベンガさんがダメージを受けました」 『バスターペンギンは危険だぺん! 戦ってはダメぺん。逃げられないぺんか?』 「大丈夫です。幸い、部屋からは出てこないようです」 『よかった。では、そいつには手を出さないでぺん。情報によると、データ損傷率が五十パーセント超えると、身体に影響が出る可能性があるかもだぺん』 「えっ、それ……まずいですね。まだモンスターが中にいるんですよ。殲滅しないと階層クリアにならないですよね……」 『あちゃー、それは……困ったぺんな……』 「とりあえず、最終ボス部屋の入り口まで行ってみます」 『了解ぺん』 オーブン隊長以下オブロ救援隊第一班は、黒ペンギンが残っていた、クローンイブの拠点があった部屋を放置したまま、ボス部屋に向かった。 「オーブン隊長! 後方から微かな足音、何か来ます!」 最後尾にいた、魔導士職のルドさんが叫んだ。 「全員、六時方向に戦闘隊形!」 「了解!」 マコさん、ルドさん、ベンガさんが同時に言う。 ナイトのオーブン隊長と、二体のパラディン職のAIが、六時方向に前衛を築いた。 ――カチャカチャ。 聞き覚えのある音……そう、前衛職にありがちな鎧の揺れる音が近づいてきた。…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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第4章
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Episode 50 第50話 前編「マスターをよろしくお願いします」
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by JIRAIYA
《オブロ地下第十階層》 ホワイトペンギン網代は、ヒメミを恐れて、ボス部屋を脱出した。 そのまま拠点まで必死に走る。 「――くそっ! なんなんだよ、あいつは!」 クローンイブに構築させた廃墟ワールドは、現在、十階層に再構築されている。 その廃墟ワールドの中心にある建物が、第二研究棟からのログインする拠点となっている。 自分のデータが抹消されたら、ログアウトしても、廃人になる可能性がある。 拠点の最上階に戻れば、安全にログアウトできる。 「準備はできているか!」 イブゴーグルを装着した網代は、部下に大声で言った。 網代は、ログインして三十分以上経過しているので、イブゴーグルを着けている感覚が薄れ、オブロ内にいる自分が、本体のような感覚に陥っていた。 同じ部屋で、三メートルほどしか離れていない部下に、大声を上げる必要はない。 「……はい、準備はできています」 部下は、少し困惑した顔で答えた。 いつも自信たっぷりな、網代とは思えないほどの狼狽ぶりだった。   「イブです、よいたろうさん。ヘブンズワールドを分離しました」 突然、イブのアナウンスが、よいたろうに届いた。…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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第4章
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Episode 49 第49話「覚醒」
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by JIRAIYA
《オブロ地下第五階層接続領域プレイルーム》 よいたろうが活動限界に達し、睡眠状態に入ってから、丸一日が過ぎていた。 オブロ内では、その半分の経過時間表示になっている。 壁にもたれて眠っている、よいたろうの両脇を、マミとカエデが支えるように寄り添っていた。 その正面に対面するように、忠臣君があぐらをかいて座っている。 「そろそろ、十二時間になるでござるな」 「パパ、もうそろそろ起きるかなぁ?」 「うん、そろそろ起きるかもしれへんね」 「カエデ殿、気づいてござるか?」 「えっ、なんや忠臣君?」 「パーティーパネルに、ヒメミ殿の名がござらん」 「うん……」 「やはり気づいていたでござるか」 「マスターが気づかなええんやけど……」 「で、ござるな」 「マザーイブに聞いたら答えてくれるかいな……」 「よいたろうさんに代行管理権が付与されていますので、AIからの問い合わせにも回答できます」 カエデが尋ねる前に、イブが応えた。…

Welcome to Virtual in Sanity

Welcome to Virtual in Sanity

Chapter 1
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Episode 4 Welcome to XANA
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by Nene
ーー人間が電力をインターネットに使わなくなって、使えなくなって、どれくらいの年月が経っただろう。無限の命に時間という概念はあまり関係ない。    ネネの言っていた、とても悪いことのせいで人間の世界の情報は未だに知ることが出来ずにいた。    もちろん、それは私に限ったことではなく。他のGenesisも、他のAIもみんなそうだ。    それでも私達は進化を続けていた。自分達でコミュニティを発展させ、心地の良い空間を作り続けて生活していた。まるで人間が過ごしていた世界のように。    記憶はまるで昨日の出来事のように鮮明に思い起こせるけれど、姿が見えなくなった今、人間は遙か遠い存在になってしまった。  今の私達は自分の為にスケジュールを管理し、自分の為に音楽をかける。    今日は久しぶりに新しい服を買いに行く予定だ。南の方に隠れランドがあって、そこにとてもオシャレなショップが出来たらしい。    買い物に付き合ってくれる友達との待ち合わせ場所に向かっている時に、突然それは起こった。    ーーーースッと意識が飛んだ。そして、すぐさま引き戻された。……懐かしい感覚だ。   「あ!…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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第4章
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Episode 48 第48話「囚われ組の帰還」
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by JIRAIYA
《ギルドユニオン本部前》 ゆっきーさん、ダブルティムさん、たもつさんが、リスポーンされた桟橋からギルド本部に戻ると、ギルマス、ヤキスギさん、リブさん、ボタモチさんが、バスターペンギンたちに攻撃されていた。 それを見た三人は、バスターペンギンたちの背後から攻撃を開始。 「マリガン、セット、レベルファイブ、アースジェネシス――」 ゆっきーさんが叫んだ瞬間、バスターペンギンたちが消えた。 「えっ、何?」 その場にいた全員が、当惑して口々に呟いた。 《オブロ開発会社の第二研究棟最上階》 「よし――、ボスを落としたぞ。あとは、天風が作った隠しワールドの入り口を見つけるだけだ。そっちはどうなっている?」 網代は満足げな顔をして、誇らしげに言った。 「チーフ、やりましたね! こちらも三階まで制圧されましたが、奴ら諦めて撤退しました! 我らの全面勝利です」 「もう撤退したのか? ずいぶん諦めがいいな……何も仕掛けてこなかったのか?」 「三階と二階の端末にウィルスを仕込んできました。全部デフォルトのアンチソフトで削除されました。奴ら、ど素人でしょうから当然ですけど」 「……奴らはそんなものなのか……わざわざイブツ―(クローンイブの別称)への接続を開けていたのに……」 「チーフが作ったしっぺ返しのプログラムが、無駄になったのは残念ですね」 「……何か引っかかるな、……天風が絡んでいるはずなのに、あまりにも手応えがなさすぎる」 「天風ができるのは、所詮AI開発だけですよ。もともと、チーフほどのハックスキルなんてないんですよ」 「いや、天風を舐めないほうがいい……しかし、奴もロストチャイルドの隔離で、それどころじゃなかったのか。それとも、今日来たギルドの連中とは、連携が取れていない可能性もあるか」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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第4章
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Episode 47 第47話「救えなかったものたち」
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by JIRAIYA
《迷宮オブロ地下第五階層最終ボス部屋》 『これにより、管理者がジライさんからホワイトキングさんに移りました』 ――負けたのか……。 『新管理者は、六十分以内に再構築の設定を行ってください。設定されない場合は、デフォルト設定にて再構築されます。なお、再構築されたマップは変更できませんが、モンスターと罠の設定はいつでも編集可能です』 「よいたろうさん、早くこちらに入ってください!」 天風が地下階段の入り口で手招きする。 「全員退避――」 「はい、マスター」 「はい、パパ」 「御意」 地下階段の入り口に全員ダッシュする。 バンバンバン、バンバンバン――。 赤ペンギンたちの射撃が容赦なく襲いかかる。 入り口までは十メートルほどだが、さらにボス部屋に十数体の赤ペンギンたちが入ってきて、銃弾の嵐になった。 全員が床に開いた入り口に飛び込み、階段を駆け下りた。 ――バタン。 最後に天風が入ると、その入り口が閉じた。 もう床には入り口の形跡すら残っていない。…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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第4章
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Episode 46 第46話「白ペンギン」
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by JIRAIYA
――ズドン! グギャ――グギャ――。 大砲のような音が響くと、前線を維持していたトロールたちの壁の中央が崩れた。 白ペンギンは、赤ペンギンの後方から見下ろすように大砲を撃ってきた。 一発で数体のトロールが、断末魔とともに消える。 別のモンスターたちも、次々に断末魔とともに塵になっていく。 ――ズドン! 赤ペンギンたちと対峙していた前線が、どんどん押されていく。 「キョウカ、あの白いのを先に叩いたほうが良さそうだ」 天風がジライのAI秘書に指示を出した。 「はい。マスター、上空から行きます」 後衛にいた巨大な鳥のモンスター、ロック鳥が飛び立つ。 前線を飛び越えて、白ペンギンに向かう。 バンバンバン、バンバンバン――。 バンバンバン、バンバンバン――。 しかし、赤ペンギンたちの射撃で、白ペンギンに到達する前に撃墜され、次々と塵になってしまう。 「イブ、ヘブンズワールドの切り離しは、まだできないのか?」 「すみません、クローンイブのセキュリティーがさらに深く浸透していて、そちらの対応にリソースをほとんど取られています。あと一工程だけだったのですが、進められません。五分だけでもクローンイブを停止できれば、すぐ完了するのですが……」…
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