目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Episode 45 45話「八岐大蛇戦」


パーティー全員に、オートマナリチャージ、ステータスオールブーストを使用する。

俺自身のレベルアップで、効果はかなりアップされている。

次に、新たに取得したパーティーディフェンススキルを使用する。

これは特定時間、受けるダメージを半分にするというものだ。

自身には更にパーフェクトディフェンスを使用する。

「新たに取得したスキルを説明してもらう時間はないから、各自の判断で必要な時に使用してくれ」

時間がなくなった原因は、俺が天風に質問しまくってたせいだけど……。

「はい、マスター」

「御意」

「はい、パパ」

両開きになっている、ボス部屋の扉を開ける。

「カエデと忠臣君は、自由に位置取り。マミは常に俺の後ろに、行くぞ!」

「まかせとぉくれやす」

「御意」

「はい、パパ」

四人がボス部屋に入る。

「あっ、よいたろうさん。私はこの扉を通過できますので、外の状況はまた報告にきます」

扉が自動で閉まる間際に、天風が声をかけた。

「分かりました」

――バタン、ガチャ。

自動でロックがかかった音がする。

部屋が薄暗くなり、恐怖感を演出するBGMが流れ出す。

三十メートル四方ほどの部屋の中央には祭壇があり、その中央が光り出した。

カエデと忠臣君が、その祭壇に走り寄る。

おそらく自分たちの射程に入れるためだ。

ボスの形状がぼんやり浮かび上がると同時に、カエデがステルスを使う。

忠臣君は、ボスまで十メートルほどの距離で立ち止まり、鞘に手をかける。

その距離から攻撃できるスキルを得たのか……。

――ドドン!

効果音と共に、最終ボスが完全に姿を現した。

高さは十メートルほどで、胴体から八つの蛇の頭が伸びていた。

これはどう見ても八岐大蛇だろ。

「行くでこざる、燕返し!」

刀を抜き、上段から斜めに振り下ろし、すぐさま刃を反転し切り上げた。

V字の斬撃波が、八つの頭のうちの一つに正確に飛んでいく。

スパン――!

グギャ!

八岐大蛇の首が一つ刈り取られて地面に落ちる。

まじか、一撃で首を一つ落とした!

「凄いぞ忠臣君!」

「殿、こいつは意外ともろそうでござる」

「風遁カマイタチ!」

カエデは、八岐大蛇の右に回り込み、クナイを放つ……かのように見えた。

しかし、クナイはそのままカエデの手に残り、その残像だけが飛んでいった。

スバッ――!

グギャ!

クナイの残像が、八岐大蛇の首の一つを貫いた。

切り取られてはいないが、その蛇首は目を閉じ、胴体に繋がった根元から垂れた。

残っている蛇首は、あと六つだ。

「カエデ、ナイスだ!」

二人とも凄い攻撃力じゃないか!

ミサキがいなくても――。

一瞬、そんな思いが脳裏をよぎったが、すぐにその思考を止めた。

――ボッ、ボッ、ボッ、ボッ。

祭壇下の四隅が突然青白く光り、何かが出現した。

それは、高さ五メートルほどの一つ目の巨人だった。

ファンタジー系では定番の、サイクロプスという一つ目の巨人モンスターだ。

サイクロプスは、右手に持っている棍棒を振り上げた。

忠臣君は俊歩で後退するが、カエデはクナイを構え、次の攻撃態勢に入った。

だが、サイクロプスは棍棒を振り下ろさず、その目が白く光った。

その瞬間、カエデのステルスが解除され、姿が露わになった。

「逃げろカエデ!」

二時方向のサイクロプスが、カエデ目がけて棍棒を振り下ろした。

カエデはすぐに右に跳び、その一撃をかわした。

だが、八岐大蛇の後ろにいた別のサイクロプスが、既に突進してきていた。

カエデの着地際をカウンター気味に棍棒でゴルフスイングした。

ドン――!

カエデは、自分の身体ほどもある棍棒に直撃された。

カエデの身体はゴルフボールのように飛ばされた。

ガツン!

入口の木製扉に激突した。

「カエデ!」

扉に叩きつけられたカエデは、すぐに立ち上がろうとしている。

ステータスを確認すると、HPは六十パーセント残っている。

スタミナもマナも九十パーセントだ。

一撃四十パーセントは大ダメージだが、大丈夫だ。

パーティーディフェンスをかけていなかったら、倍の八十パーセントは持っていかれていただろう。

これは、パーティーディフェンスを途切れさせたらヤバい。

「マミ、ヒール!」

「はい」

向かって右側手前にいた、カエデを最初に狙ったサイクロプスがこちらに突進してくる。

さらに、カエデをゴルフスイングした、右側奥にいたサイクロプスもその後ろから突進してきた。

向かって左側のサイクロプス二体は、忠臣君を追い回すが、俊歩でかわしている。

「ヒール!」

マミのヒールで、カエデのHPは完全回復する。

「かんにんえ、油断してもうた」

カエデは立ち上がり、クナイを構える。

「魅了!」

俺は、向かってきた最初のサイクロプスにスキルを使った。

サイクロプスは立ち止まり、ふらつく。

「風遁カマイタチ!」

そこへすかさず、カエデがスキルで攻撃する。

サイクロプスの胸を貫通し、HPが半分になる。

しかし魅了が解除されてしまい、再びこちらに向かってくる。

「ヤバっ――幻惑」

今度は範囲スキルの幻惑を使う、すぐ後ろにもう一体のサイクロプスが迫っていたからだ。

狙い通り二体に幻惑がかかった。

二体は、敵も味方もなく、動き回りながら、めちゃくちゃに棍棒を振り回しだした。

ガツン!

一発が俺に当たったが、パーフェクトディフェンスでダメージはゼロ。

想定内だったので問題ない。

「魅了!」

HPが半分のサイクロプスに、魅了をかけて動きを止めた。

「風遁カマイタチ!」

そこへカエデが一撃を加えると、HPはゼロになり塵となった。

「魅了!」

さらに、もう一体の動きを止める。

レベルアップとともに、耐性のないモンスターに対しては、九十パーセントの確率で発動するようになっていた。

よし、単体対象スキルだがこれは使えるぞ!

「風遁カマイタチ!」

そこへカエデがスキルを使い、サイクロプスのHPは半分になる。

「スリープ!」

カエデの攻撃で魅了が解ける瞬間、マミが機転を効かせてスリープをかける。

これも見事に発動して、サイクロプスは跪いて目を閉じた。

「いいぞマミ、ナイスだ」

「はいパパ、やりました!」

だが、カエデの攻撃はない……。

「マナ切れどす、貯まるまでまっとぉくれやす」

カエデはスキルの連続使用で、マナが足りなくなっていた。

スタミナはまだ半分ほどある。

「わかった。こいつには攻撃せずに、しばらく眠らせておく」

「はい、マスター」

「魅了!」

忠臣君を追い回しているサイクロプスの一体に魅了をかける。

だが、運悪く効果がない。

十パーセントの外れがでるとは……。

「くそっ、――魅了!」

マナが心もとないが、再度スキルを発動する。

今度は無事発動、一体のサイクロプスが攻撃をやめ、ふらふらとよろめく。

「殿、かたじけない」

忠臣君は、二体に追われて攻撃する間もなく、俊歩で逃げ回っていた。

ステータスをみると、スタミナを半分ほど消費していた。

「燕返し」

魅了で動かなくなったサイクロプスは放置し、向かってきたサイクロプスを俊歩でかわし、十メートルの間合いをとり、スキルを発動。

サイクロプスのHPを六十パーセントほど削った。

燕返しは、カエデの風遁カマイタチよりもスキル発動時の動作が大きいが、攻撃力は高いようだ。

忠臣君は、さらに俊歩で何度か移動し、間合いをとる。

「燕返し」

二度目の燕返しの斬撃を受けたサイクロプスはHPを失い塵になっていく。

さらに忠臣君は、魅了スキルでふらふらしているサイクロプスに狙いを定める。

だがその時、ボスの八岐大蛇が赤く輝いた。

「注意しろ! 何かくる!」

地面に赤く輝くゾーンが出現した。

よく見ると、八岐大蛇の半径十メートル以内は赤くなっていない。

なんだこれは……ボスから十メートル離れているところが危険ということか……。

そうか、これは……範囲攻撃!

「中心に逃げろ!」

壁まで広がっていたので、中心部の赤くなっていない範囲に逃げるしかない。

ゴォー!

地面の赤いゾーンに真っ赤な火柱が立った。

「うわっ」

「きゃっ」

「やばどす」

忠臣君以外は間に合わず、火炎ダメージを食らう。

俺、マミ、カエデが二十パーセントほどHPを失った。

魅了されていたサイクロプスも、HPを半分失っていた。

サイクロプスはその攻撃で魅了が解除され、こちらに向かってきた。

「パーフェクトディフェンス――」

忠臣君は間に合わない、カエデのマナもまだか……俺が受け止めるしかない。

前に出て、自ら棍棒ダメージを食らう。

ガツン!

パーフェクトディフェンスの発動でダメージはない。

サイクロプスは再び棍棒を振り上げる。

攻撃力は高いが、準備動作はのろい、もう一度スキルをかける余裕は充分ある。

「パーフェクトディフェンス――」

これはマナの消費が激しいが、仕方がない。

ボスに近づいた忠臣君は、蛇首に狙われるが、俊歩で反転し距離をとる。

「――燕返し」

忠臣君が、サイクロプスの後方から攻撃する。

よし、やったぞ!

四体目、最後のサイクロプスのHPがゼロになり、塵と消える。

その瞬間、また地面が赤くなる。

今度は中心角百度ほどの扇形だ。

「回避!」

カエデと忠臣君は九時方向に、俺とマミを乗せたセンちゃんは、三時方向に走る。

ゴォー!

赤くなった地面から火柱が上がる。

「くそっ……」

俺とマミは間に合わず、二十パーセントのダメージをもらう。

ブォー、ブォー、ブォーッ。

八岐大蛇の蛇首三体から、火炎放射のような炎が走った。

龍のファイアブレスのような攻撃だ。

範囲攻撃を逃れた忠臣君を狙ったものだった。

忠臣君は最初の火炎放射を間一髪、俊歩でかわした。

しかし、二射目が移動先に放射されたため、直撃を受ける。

さらに、俊歩で移動したところを三射目が直撃した。

忠臣君はHPの二十パーセントを失った。

ブォー――。

四つ目の蛇首がさらに、忠臣君を襲う。

忠臣君が壁まで俊歩で待避した。

どうやら射程距離は十メートルほどらしい。

忠臣君は射線上にいたが、炎は壁まで届かなかった。

ということは……十メートル以内に近づかなければ、あの火炎放射ブレスは怖くない。

しかし、範囲攻撃は壁際まで届き、避けるには八岐大蛇の近くにいた方がいい。

なるほど、遠近両方の攻撃持ちということか。

ただ、防御力はそれほどでもなく、二つの蛇首でHPが二十パーセント減っている。

残り六つの蛇首を落とせば、ダメージは八十パーセントになる計算だ。

ということは、本体のHpは二十パーセントだけということだ。

「よし、まずは首を落とすことを優先しよう。カエデ行けるか?」

「マナ貯まったさかい、二回はいけますえ。ステルスで近づきますえ」

「ボスもステルス解除できるかもしれないから注意しろ」

「了解どすぇ」

「忠臣君は、……少しスタミナ回復したほうがよさそうだな」

「範囲きます! みんなマミの近くに来て――!」

八岐大蛇から半径十メートル外側の床が赤くなる。

マミの意図することがよく分からなかったが、回避するために八岐大蛇に近づけば、ブレス攻撃がくる。

全員がマミのそばにダッシュする。

「行きます――魔防陣!」

マミを中心としてクリスタルのような球状の結界ができ、全員がその中に包まれた。

ゴォー!

周囲に火柱が立ったが、球状の下から上がった火柱は、球面に沿って四方へ流れた。

完全に防ぐことができたようで、誰もダメージを受けない。

「ナイスだマミ! これで守れるのは魔法だけかな?」

「はいパパ、魔法なら全部対象です」

「よし、また範囲攻撃がきたらマミの元へ、カエデはステルスが無効化された場合のみだ」

「はいマスター」

「御意」

「マミ、この結界の継続時間は?」

「マナの続く限りだよ、パパ」

「分かった。マナ切れに注意してくれ」

「はい」

「忠臣君はスタミナ回復までマミのそばで休息、俺のブーストスキルで回復スピードは三倍になっているはずだ」

「御意! マミ殿、しばし頼むでござる」

忠臣君はマミのそばにあぐらをかいて座った。

「うん」

「カエデ行くぞ、効くか分からないが、魅了をかける」

「了解、マスター! いくで、ステルス」

カエデがステルスを発動して八岐大蛇に向かってダッシュする。

「魅了――」

甘美な効果音が流れ、蛇首たちの目が泳いだ。

効いたのか――!

「風遁カマイタチ」

――ピカッ。

カエデのカマイタチが届く前に、蛇首の一体の目が光った。

カエデのステルスが解除され、姿が露わになる。

魅了の効果は、ほんの数秒で失われたらしい。

スバッ――!

グギャ!

クナイの残像が、八岐大蛇の首の一つを貫き胴体から垂れる。

――ブォー。

――ブォー。

――ブォー。

次々と蛇首たちのブレスが、カエデをめがけて放たれる。

カエデは最初の一撃で、半身に炎を浴びたが、あとはヒラリ、ヒラリと木の葉が舞うようにかわす。

十パーセントほどHPを失うが、カエデの身体に延焼はない。

――ブォー。

四つ目のブレスがきた時には、既にカエデは射程外まで退避していた。

「カエデちゃん、範囲くる!」

マミが言った瞬間、床が扇形に赤くなる。

もしかして、マミは予期できるのか?

カエデがマミの元にダッシュしてくる。

ゴォー!

赤くなった床から火柱が上がる。

「――魔防陣!」

間に合わず、全員五パーセントほどダメージを受ける。

「ゴメン、うちが遅くて……」

カエデが魔防陣に入るまで待った結果だからしかたがない。

「大丈夫だ、これぐらい大したことはない」

「カエデ、もう一度行くぞ」

「はいマスター、今度はすぐ戻ります」

「マミ、スリープを使ってみてくれ」

「はい、パパ」

俺のマナは残り三十パーセントを切っている、マナリチャージの回復が追いつかないので、少し温存したい。

「ステルス!」

「スリープ!」

蛇首たちの目が閉じていく。

問題は継続時間だ。

「よしかかったぞ、いけカエデ!」

「風遁カマイタチ」

クナイの残像が蛇首の一体に飛んでいく。

命中――!

眠ったままの蛇首が胴体からしなだれた。

カエデは、すぐにこちらにダッシュしてくる。

もう、カエデのマナは切れている。

――ピカッ。

やはり、ボスだけあって、効果は短いようだ。

蛇首たちが次々と目を覚まし、一体の目が光ってカエデの姿が露わになる。

――ブォー。

――ブォー。

二体の蛇首がブレスを放ったが、既にカエデは射程外に到達していた。

「よし、いいぞ!」

これで残りの蛇首は四体だ。

このパターンでいけば、問題ない。

次は範囲がくるはず――。

――ボッ、ボッ、ボッ、ボッ。

祭壇下の四隅に、突然青白い光が現れた。

「くそっ、サイクロプスだ! ――マミ、スリープ」

「はいパパ、スリープ!」

「魅了!」

再生したばかりのサイクロプスに、スリープと魅了を使う。

八岐大蛇の前方両端にいるサイクロプスは、それぞれ動きを止めた。

後方のサイクロプスが動き出す寸前に、床が扇形に赤くなった。

「範囲攻撃きますえ」

カエデがマミの元に戻ってきた。

「――魔防陣!」

ゴォー!

火柱が上がるが、誰もダメージを受けない。

サイクロプスたちもその範囲外だ。

八岐大蛇の後方にいたサイクロプスたちが突撃してくる。

「殿、十一時方向は、拙者が引き受けるでござる」

「頼む、忠臣君」

「パパ、二時方向はマミが眠らせるよ」

「了解、カエデはマナ回復に専念」

「はい、マスター」

《オブロ開発会社の第二研究棟》

オーブン隊長率いる第一班は、階段を上がり、二階オフィスの扉の前に着いた。

エレベーターと、三階に上がる階段がある。

ARゴーグルでのみ確認できる、ドア横のパネルのロック解除ボタンを押す。

――ジッ。

『オーブンたん、そっちはどう? 一階の警備AIは二体だけで処分完了。会議室が二つあっただけで、偽イブの端末らしきものもなかったよ』

ヘッドセットにリアムンさんの声が届いた。

「了解です、リアムン隊長。こちらはこれから二階オフィスに突入します」

『了解、こっちはエレベーターで三階行ってみるね』

――ジッ

「はい、ではまた後ほど」

『らじゃ』

――ジッ。

「マコさん、ドアを開けてください。俺が突入します。モネさん援護頼みます」

「分かりました」

「了解モネ」

「じゃあ開けますよ、三、二、一」

マコさんが勢いよくドアを引く。

オーブン隊長が身を屈めて突っ込み、近くの机に隠れる。

モネさんは、その背後に立ち銃を構える。

――ピン! ピン! ピン!

――ピン! ピン!

「モネー!」

モネさんに次々と射撃が命中し、慌てて廊下に引っ込む。

「危なかったモネ、ヘッドショットもらったモネ、ARグラスに当たるかと思ったモネ」

モネさんは当たり判定で、三分間ARグラス機能停止、敵を認識できない。

――ピン! ピン! ピン!

机の影に隠れたオーブン隊長は身動きするたびに射撃されて動けない。

「何人いました?」

マコさんが尋ねる。

「五人ぐらいはいたモネ……でも、なんかプレイヤーみたいな気がするモネ」

「プレイヤー?」

「うん、ARグラスかけて、色んな迷彩服着てたし、ライフルみたいなの持ってたモネ。XANAのFPSゲームワールドによくいる感じの出で立ちだったモネ」

「なるほど……プレイヤーにゲームをさせて護らせてるってことかも……うまいこと考えやがったな」

「きっとそうモネ。ヘッドショットもらったから、かなり射撃うまいモネ」

「これはちょっとやっかいですね」

「あっ、それと、机に何台かパソコンあったモネ、もしかして端末かもモネ」

「おっ、そうですか……これは制圧しないとですね」

《オブロ開発会社の第二研究棟最上階》

「チーフ、一階は制圧されました。二階はプレイヤー五名が防戦中。三階に侵入者が向かっています」

「三階と四階のプレイヤーは?」

「三階に入ったプレイヤーは二人、四階はいません。AI警備員は全員四階に送りましたが三体だけです」

「くそっ! あっちもこっちも邪魔しやがって、クローンイブがやられる前にオブロを陥落させる。俺が直接入る」

「えっ、でもログアウトできなくなる危険性が!」

「落とせば問題ないし、逆に落とされても正常に戻るだけ。どっちにしてもログアウトできるようになるさ」

「ああ……確かに」

「俺が組んだホワイトペンギンを使う」

「はい。では、オブロの拠点にチーフのバスタープログラムを送り込みます」

網代は第三世代AIゴーグルでクローンイブにログインした。

「いいぞ」

「はい、今送信しました」

《オブロ地下第五階層》

オブロ地下第五階層で、赤ペンギンたちを攻撃するモンスターたちがいる。

天風の指示で、ジライのAIたちも赤ペンギンを向かえ撃っている。

突如、赤ペンギン群れの中に、その倍の大きさの白いペンギンが現れた。

――ズドン!

(著作:Jiraiya/ 編集:アヒッル)

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