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Chapters: Chapter 2

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目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

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第2章
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Episode 12 12話「有志とパッション」
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by (JIRAIYA:著)
「ぺんちょたん、なんで頭ついてんの?」 「はっ? リアムンちゃん、頭なかったら生きてないぺん――!」 「だってさぁ、XANAに頭おいてきたんだよねー」 「だから――」 そんないつもの会話から始まったのは、ギルドユニオンのオンライン・ゼーム会議だ。 右サイドに参加メンバーが表示されている。 サブギルマスのパッションソルトさん。 運営とのパイプを持つぺんちょさん。 デザイン部のリアムンさん。 制作部のリヨウさん。 警備部のオーブンさん。 宴会部のまこちゃんさん、ユウホさん。 初心者案内部のルドさん、ハマヤンさん。 クリプト部のビットンさん、ベンガさん。 など、その他二十人ほどのギルメンたち。 そしてクイーンギルトのウミユキさんが参加していた。 リアルタイムで通信ができないので、俺はあとからこの会議の様子を録音で聞いた。 だから誰の発言か分からないところもある。…

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第2章
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Episode 13 13話「ペットとボート」
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by (JIRAIYA:著)
新しく設立された地下迷宮オブロは、ビーチからすぐ見える無人島に設置されている。 この島自体が新しく作られたワールドだ。 必要な装備を購入するため海岸通りのショップに立ち寄った。 ヤキスギさんにいただいたJXBカードでパッションソルトさんのオムライス、リアムンさんのアバター、ヤキスギさんのおやきを購入した。 AI秘書たちの武器防具は、既にアイテムを用意してあるが、念のため確認しておくことにした。 アイテムバッグを意識するだけでパネルが表示される。 とてもリアルで持ち運べる量ではないが、それがメタバースのいいところだ。 アイテムの中に点滅しているものが二つある。 あっ――! そうだ、ペットのリビールだ。 リビールとは、購入した時点では中身が開示されないNFTが公開されることだ。 クリックを意識すると、ポン、ポンと飛び出してきた。 一匹目はかなりでかい犬だ。 「あっ、マスター、そのセントバーナード、騎乗スキルあります!」 ヒメミがいち早くステータスを読み取ったようだ。 少し遅れて俺も『ステータス』を意識してポップアップされたデータを確認した。 大型犬、セントバーナードタイプ。 救助スキルを持つ、戦闘時は使用できない。 スキル使用後、全ステータスを全回復する。…

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第2章
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Episode 14 14話「裏切者」
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by (JIRAIYA:著)
桟橋にボートが近づいてくる。 カエデは相変わらず、船首に仁王立ちして腕を振り回している。 操縦席に人影は見えるが、まだ誰かは分からない。 ゆっきーさんが、XANAメタバース内にログインしていることは確かだが、マップを開いても表示されないし、通信もできないので、ゆっきーさんである確証が持てない。 それでも、特定の区域だけのようだが、ログイン状態だけでも確認できるのはせめてもの救いだ。 「マスター、ゆっきーはんどすえ。ユニオンのゆっきーはんどしたで――」 カエデの声が届いた。 やはりゆっきーさんか、でも他の三人は見当たらない? 船が桟橋に着いたので、急いで操縦席に向かった。 「よいたろうさん!」 「ゆっきーさん、よくぞごぶ……」 ゆっきーさんの両足はなかった。 「あははー、大丈夫ですよ、見た目はこんなんですが、痛くもかゆくもないから」 そう言われても、やはりなんか痛々しい。 「そっ、そうみたいですよね……やはりバスターペンギンたちに……」 「そうです、やられました。それで戦力にならないので、俺とこの娘、カナはボートに残ってました」 「なるほど、では、ダブルティムさん、たもつさん、ボタモチさんは、オブロに入ったんですね」 「そうです。あっ、詳しい話は後でします。あと五分ほどで奴らが来ます。早く全員ボートに乗せてください」…

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第2章
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Episode 15 15話「地下迷宮オブロ専用AI」
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by (JIRAIYA:著)
伝書鳩に、ゆっきーさんと合流し共にオブロに突入をする旨と、ぺんちょさんに個人的な頼み事を一緒に録音した。 帰路指示のパネルを意識でクリックすると、伝書鳩ポッポルは飛び立った。 こちらから新たに通信ペットを送るためには、この見えない境界線の所まで戻ってくる必要がある。 一度オブロ突入してしまったらギルドとの連絡は困難になるだろう。 桟橋にボートを止めて上陸すると、五十メートルほど歩いたところに洋館が建っていた。 地下迷宮オブロの表示が浮かぶ。 「マミはオブロのマニュアル持ってるよね。私たちに共有してちょうだい」 ヒメミの指示で、マミはなにやら始めた。 第三世代秘書は、イブをマザーとしてオブロ専用に作られたらしいから、データは持っているのだろう。 マミを意識すると、データの共有画面が出てくる。 ヒメミ、ミサキ、カエデにオブロの情報を送信しているようだ。 「えっと、ゆっきーさんの第三世代秘書は……」 俺は聞くのを躊躇っていたのだが、必要だったので言葉を濁しながら聞いた。 「プラティは、ボタモチさんたちと一緒に行かせました。俺といるより役立つと思ったので」 生きているのか、よかった――! 「そうでしたか、じゃあマミ、カナちゃんにもそれ共有して」 「はい、マスター」 「ありがとう。カナ、データ受け取って」…

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第2章
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Episode 16 16話「戦闘隊形」
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by (JIRAIYA:著)
ふと、リアムアバターが右手に引きずっている、セクハラ上司おじさんと目が合った。 「おじさん、さっきは助かったよ、ありがとう」 おじさんが頬を赤らめてもじもじする。 ――げっ、照れてるんかい! 「きもっ――!」 全員が俺の方に注目する。 「ゴメン、なんでもない……。俺、アバター着替えるよ」 そう言ってアイテムボックスから、海岸通りのショップで購入したリアムアバターを取り出す。 『交通事故で天国に行って、天使に輪廻転生を勧められたが、丈夫な体が欲しかったマロンは、地獄に行ってアンドロイドの体にしてもらった。そのとき捕まえた悪魔に首輪を付けて引きずり回している』 セクハラ上司よりは強そうだと思って買った。 このバグった世界で、設定が具現化しているとすれば、アンドロイドも悪魔も強そうだと思ったからだ。 「俺も着替えようかな……」 ゆっきーさんは、同じくリアムアバターの引きずるシリーズを着ていた。 ただし、引きずっているのはサンマだ。 そういえば、みんなアバターを着ていても、誰だか分かるのが不思議だ。 今までは、頭上にネームが出ていたが、バグってからは出ていない。 意識すればステータスを見ることができるが、どうやら『誰』という認識は自動的に頭に入ってきているようだ。 「――キャー!」…

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第2章
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Episode 17 17話「ジェネシスカード」
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by (JIRAIYA:著)
両開きの扉を軋ませながら扉を開く。 先の見えない緩やかな下り坂がずっと続いている。 ここからは一本道にしか見えないが、幅はかなり広く、天井もかなり高い。 幅は五人ぐらいが横に並んでも余裕のある広さで、高さも十メートル以上はありそうだ。 隊列は、一列目左から、ヒメミ、カナ。 二列目左から、忠臣君、カエデ、ダチョウに乗ったゆっきーさん。 三列目左から、ミサキ、センちゃんに乗ったマミ、俺だ。 これでパーティ制限の十人になってしまったので、他のペットは出せない。 「あの、マスター」 「ん? なんだマミ」 「ここって、モンスターだけじゃなくて、罠もあるから危ないよ」 ズドン――! 「うわーっ」 右の端っこを歩いていた俺は、さっそく罠にかかった。 壁に刻まれた文様に気を取られていて、下をまったく見ていなかった。 明らかに仕掛けがあると分かる。 その床だけ正方形の切れ込みがあったのだ。 幸い、穴の深さは一メートルもなく、ダメージはまったく無かった。…

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第2章
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Episode 18 18話「うちが、魔導士やってきます」
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by (JIRAIYA:著)
「えっ? 魔導士やってくるって、カエデどういうこと?」 「マスター、まあ見ててください! いいですよね?」 「いいけど、あまり危険なことはしないでくれよな」 「マスターにそんなん言われたら、キュンキュンしてまうわ」 「別に特別な意味じゃないぞ、みんな大事だからな」 ヒメミの背中がびくりと反応したので咄嗟にフォローを入れる。 「戻ってきたら、ギューしとくれやっしゃ!」 「そっ、それは……」 背中からでも、ヒメミの額に青筋が立ったのが想像できる。 「マスター、カエデだけなんてずるいです。次は私ですからね!」 「ミサキも頑張ってるから、分かってるから……」 「ほな行ってくるなぁ。忍法、隠密」 カエデの身体が薄くなった。 おそらくこれがステルススキルで、敵からは全く見えないのだろう。 うわっ、壁走れたのかよ――! カエデは壁を走り登って、そのまま前線を越えてゴブリンたちの背後に消えた。 「ギャッ――!!」 どうやらステルス状態でゴブリン魔導士を攻撃しているようだ。…

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第2章
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Episode 19 19話「アストロヒューマンプランと心の在りか」
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by (JIRAIYA:著)
「ジャッキーさん、ちょっと聞いてほしいことがあるぺん」 「はい、なんでしょう?」 「よいたろうさんに、頼まれたことがあるぺん」 「よいたろうさんに? なんでしょう……」 「妹さんの病院にお見舞いに行けないので、代わりに誕生日プレゼントを届けてほしいと……ぺん」 「妹さん、病気なんですか? それは心配ですねー。で?」 「その病院というのが、鳥取県にある、アストロヒューマン医療センターってとこぺん……」 「アストロヒューマン――!」 「だよねー、ジャッキーさんが、この前言ってた会社に似てるぺん」 「そうですね。ジショさんのコネクションを使って調べて分かったことですが、リアルデビルズ社はマザーAIの開発に下請けを使っていました」 「それだぺん!」 「その会社の名前が、アストロヒューマンテクノロジー……」 「偶然の類似かもしれないけど、なんか珍しい名前だぺん」 「何か関係があるかもしれませんね。僕も一緒について行っていいですか?」 「うん、頼むぺん」   一ヶ月ほど前に遡る 「ねーねー、お兄ちゃん、誕生日に新しいアバター買うてよ」…

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第2章
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Episode 20 20話「挟撃の死闘」
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by (JIRAIYA:著)
前方のゴブリン、後方のスライム。 対応策を必死にめぐらす。 スライムのステータスを見る。 レベル1と2しかいないようだ。 攻撃は……噴射攻撃? なんだそれは――だが射程は二となっている。 近接の射程が一という数値なので、槍ぐらいの射程のようだ。 ちなみにゆっきーさんの突き銛は射程二、投擲銛は三だ。 噴射攻撃の攻撃力も高くはなさそうだ。 しかし問題は数の多さだ――。 既にざっと三十体は超えているし、今も俺が落ちた穴から這い出てきている。 スライムの群れはそのまま斜路を下り、こちらへ届く寸前だ。 ミサキも後方に向き直った。 斜め上方にセットしたウォータージェネシスも同距離でついてくる。 セットした位置で追尾してくるのは便利だ。 「マスター、矢の残数二本です!」 二本だけ――! おっと……それはまずい。…

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第2章
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Episode 21 21話「イブの主《あるじ》と少子化」
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by (JIRAIYA:著)
ゆっきーさんが最後のスライムを倒して、モンスターは一体もいなくなった。 倒したモンスターたちは、いずれも数分で破片となって空気中に解けていった。 ――パッパラパッパパー! 全モンスターが消えると、いきなりファンファーレが鳴り響いた。 全員ビクッとするが、同時に身体が輝きだした。 シャキィーン、シャキィーン、シャキィーン! 次々とレベルアップしていく。 全員レベル10になった。 どうやら戦闘が終了するまでは、レベルアップはしないようだ。 さすがにあれだけ倒して、トライアルブーストがあれば十ぐらい上がるか……。 HPなどのステータスが、みんなほぼ倍になっている。 しかし……。 「ありゃー、レベルアップ時の回復無いんだ」 ゆっきーさんが指摘するが、その通りだった。 気絶したままカエデもレベルアップしたが、マナどころか、HPも回復してない。 自然回復しているが、かなり遅い。 「みんな、手足の欠損とかはないか?」 俺は心配になって、身体の一部の欠損がないかを確認した。…

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第2章
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Episode 22 22話「ボス部屋と鳥かご」
/
by (JIRAIYA:著)
地下第一階層の探索が終わり、ボス部屋が確認された。 ほかのモンスターは全くいなかった。 ボス部屋をクリアすれば、二階層に行けるのだろう。 宝箱からマナ回復ポーションが数本見つかった。 HPやスタミナ回復ポーションはなかった。 ほかには、ミサキが使える矢が十本と薙刀、ゆっきーさんが使える投擲槍が見つかったのは大きな収穫だった。 「あとはここのボスだけだな。ゆっきーさん準備はいいですか?」 「はい、俺もカナも、大丈夫です!」 「では、ヒメミ、カナちゃん扉を開けて」 「はい」 「はい」 二人が両開きのドアを開けた。 既にメタルジェネシスは盾に付与済みだ。 盾を押し出しながら突入する。 続いて、前回と同じ隊列で、二列目、三列目があとに続く。 そこは二十メートル四方はあるかと思われるホールだった。 奥には扉が一つだけある。 なぜか既に開いていて、階下への階段が見える。…

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第2章
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Episode 23 23話「合鴨戦法」
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by (JIRAIYA:著)
ゆっきーさんとカナは、階下への扉の前で警戒。 俺とボタモチさんは、ボス部屋の入り口のドアに耳をあてる。 だが、分厚い扉に阻まれているからか、何も聞こえない。 「あっ、狼犬に聴音スキルある」 ボタモチさんの狼犬に、聴音スキルが備わっていたようだ。 スキルを発動すると飼い主にダイレクトに聞こえるらしい。 「おお、聞こえる! かなり大人数の足音だね」 やはり誰かがオブロに入ってきたようだ。 「あっ、戦闘が始まったみたいです」 「俺とゆっきーさん、かなり苦戦したからな……」 「俺らも同じです。ユニオンの増援でしょうか?」 「今、ギルド本部で動けるのはリブさんと、ヤキスギさんだけなので……」 「くそっ! バスターペンギンの襲撃ですね」 ボタモチさんが悔しそうに言った。 おそらく彼もAI秘書を失っているのだろう。 「そうなんですよ。ジショさんたちは足をやられてます」 「となると、本部も心配ですね……」 「俺は寝落ちしていて運よく無事だったんです」…

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第2章
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Episode 24 24話「骨とちゃっちい罠」
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by (JIRAIYA:著)
「マスター、またどすか……」 「カエデ、私が通過したときはなかったのよ」 「えっ、そうだったのヒメミちゃん」 「マミね、今突然なんか床に出てきたの見た」 ドテッ――! 「痛ってーっ!」 後ろを振り返ると、ボタモチさんが転んでいた。 よかったぁ~、俺だけじゃないじゃん。 「全員注意して! 床下から突然何か出てくるから」 ヒメミが注意すると、全員が足元に注意を払った。 転ばせるだけのちゃっちい罠だから、被害はないけど……。 また後で発動する罠かもしれないからなあ。 だが、足元を見ている場合ではなかった。 「全体止まれ、第一列、防御態勢をとれ」 「サー、イエッサー!」 「前方から骨接近、全員警戒!」 えっ、骨? アヒル隊長が警戒を促す。…
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