目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件
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第3章
/ Episode 25 25話「与えられる自由と奪われる自由」
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暗いよ……暗いよ、ママ、ママ。 ママ―どこ、どこー……。 怖いよ、怖いよー、ママ、ママ、ママ……。 ――三年前のあるマンションの一室。 ある男とフィアンセがそこにいた。 その男は天風好一という三十歳代のAIエンジニアだ。 「どうしたんだ美幸?」 看護師の美幸は、その日やけに落ち込んでいた。 「うん……、今日ね、うちの病院に交通事故にあった、六歳の女の子とお母さんが運ばれてきたんだけど……」 そこで言葉に詰まった美幸に、天風が助け舟を出す。 「ひどい事故だったのか?」 「うん、二人とも命は取り留めたんだけど、女の子はほぼ全身が麻痺、おまけに目も喉もやられてて……鼓膜もやられてて」 「そっ、それは酷い……お母さんは?」 「お母さんは意識不明で、おそらく回復は難しいと思う……」 「そうか……」 「その子がね、出ない声を必死に振り絞って、ほとんど声になっていないんだけどね……」 「うん」…