Back

Chapters: Chapter 4

10 posts

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 41 41話「ARグラス部隊」
/
by JIRAIYA
とある場所でユニオン会議が行われていた。 「ギルマスたちは大丈夫なんですか? まだXANAにログインできないんですか!」 声を荒げて迫ったのは、警備隊長のオーブンさんだ。 「まあまあ、聞いておくれよパッション!」 そこにいたメンバーは、パッションソルトさん、諜報部のジャッキーさんだ。 この音声は、ゼームを通じて主だったメンバーに配信されている。 「実は、今回の原因と対策がほぼ見えたんだ。喜んでくれパッション!」 「えっ! 原因が分かったんですか!」 オーブンさんと、画面越しにゼームを聴いているメンバーたちは驚いた。 「僕もまだ、全容を聞いていないので、詳しくはジャッキーさんが――」 ジャッキーさんが手を上げてパッションさんを遮る。 「あっ、すみません。直接話を聞いたのは、モネさんなので、モネさんが説明します」 「あっ、そうなの。じゃあモネちゃん、お願い」 パッションさんがゼームに参加しているモネさんのマイクを許可する。 「……」 「……ん?」 「モネちゃん、いないのモネちゃん?」 「あっ、ゴメンモネ、いまベビモネのおむつ換えてたモネ」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 42 42話「魂の在処」
/
by JIRAIYA
嘘だろ……嘘だ! ――なんでだ、なんでミサキが消えたんだ。 どうしてだ――どうしてなんだ――! きっとこれは夢だ! 俺はきっと、悪い夢を見ているんだ……。 空中に消えてしまったミサキの身体を集めようと、必死で空中を掴む。 なんとかこの塵をかき集めたら、元に戻るんじゃないか……? そんな気になる。 「マスター……」 ヒメミが何か言おうとしたようだが、俺は今それどころじゃない。 タタタタタタ――。 「マスター、お待たせしてすんまへん。ルートの確保できたで。それと……」 カエデが戻ってきてステルスを解除した。 周りの異様な様子を見て固まる。 「カエデ! お前何してたんだ! お前が遅いからミサキが――」 「マスター、それはダメ!」 ヒメミが俺の肩を強く掴んだ。 はっ――! 何を言っているんだ俺は、カエデのせいじゃない、俺のせいじゃないか! 「すまないカエデ、許してくれ……」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 43 43話「それぞれの戦い」
/
by (JIRAIYA:著)
《ギルドユニオン本部》 ボタモチさんは、ギルド本部のラウンジにリスポーンした。 「よかった……生きてた。お前たちも……」 「はい、キャプテン」 AI秘書ユナ・エリス・ジュリエッタたちが同時に答えた。 「喜んでばかりもいられない、すぐ報告しないと」 ボタモチさんは報告のため、ギルトの会議室にダッシュする。 「うっ、うわー!」 「キャプテン――」 ドアを開けた瞬間に目にしたのは、頭だけのぺんちょさんだった。 驚いて腰を抜かしそうになったところを、すぐ後ろにいたAI秘書ユナが支えた。 「あっ、ボタモチさんは初めて見たんですね。驚かしてすみません。マスターのぺんちょは、こんな状態ですが、元気ですからご安心ください」 ぺんちょさんの頭を抱えていた、AI秘書のマナミンが申し訳なさそうに言った。 「あっ、そっ、そうなんだ。ビックリした……」 「マスターは、リアルの世界にいて、時々連絡のために戻ってきます。今は離席中です」 「そっ、そうなんだ……いや、ぺんちょさんだけ連絡が取れる状況というのは聞いてたけれど、頭だけになって残っているというのは聞いてなかったから……」 「そうですよね、お店から直接オブロに向かったんですものね」 「うん、えっと、ギルマスたちは?」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 44 44話「ユニオン対ホワイトキング」
/
by (JIRAIYA:著)
《オブロ開発会社の第二研究棟》 マイク付きの片耳ヘッドセットを装着したユニオンAR部隊は、オブロ開発会社の第二研究棟に向かった。 塀越しに中を覗く。 塀といっても簡素な塀で、建物を囲んでいるだけのものだった。 門もなく、その気になれば誰でも敷地内に入れる。 しかし、建物自体には扉も窓もなかった。 「ねーねー、全部コンクリのあの建物、入り口も窓もないんだけれど、これどうやって入るの?」 リアムンさんが塀に囲われた五階建ての建物を見て言った。 「ARグラスかければ分かりますよ」 オーブン警備隊長が言うと、全員がARグラスをかけ始める。 「あっ、もちろんスマホのアプリは起動して、接続してくださいね」 ARグラスのレンズは黒いタイプなので、夜間に外を歩くときは見えにくい。 建物の周りに街灯がなければ、ほぼ真っ暗だ。 「おおーっ、玄関みたいのがある!」 「ARグラスでしか見えない玄関ですね」 「玄関に立っているのはAI?」 「たぶんそうですが、人が操作しているアバターの可能性もあります」 「そうなんだ。まあ、どっちにしてもデジタルなら捕まることはないよね?」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 45 45話「八岐大蛇戦」
/
by (JIRAIYA:著)
パーティー全員に、オートマナリチャージ、ステータスオールブーストを使用する。 俺自身のレベルアップで、効果はかなりアップされている。 次に、新たに取得したパーティーディフェンススキルを使用する。 これは特定時間、受けるダメージを半分にするというものだ。 自身には更にパーフェクトディフェンスを使用する。 「新たに取得したスキルを説明してもらう時間はないから、各自の判断で必要な時に使用してくれ」 時間がなくなった原因は、俺が天風に質問しまくってたせいだけど……。 「はい、マスター」 「御意」 「はい、パパ」 両開きになっている、ボス部屋の扉を開ける。 「カエデと忠臣君は、自由に位置取り。マミは常に俺の後ろに、行くぞ!」 「まかせとぉくれやす」 「御意」 「はい、パパ」 四人がボス部屋に入る。 「あっ、よいたろうさん。私はこの扉を通過できますので、外の状況はまた報告にきます」 扉が自動で閉まる間際に、天風が声をかけた。…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 46 第46話「白ペンギン」
/
by JIRAIYA
――ズドン! グギャ――グギャ――。 大砲のような音が響くと、前線を維持していたトロールたちの壁の中央が崩れた。 白ペンギンは、赤ペンギンの後方から見下ろすように大砲を撃ってきた。 一発で数体のトロールが、断末魔とともに消える。 別のモンスターたちも、次々に断末魔とともに塵になっていく。 ――ズドン! 赤ペンギンたちと対峙していた前線が、どんどん押されていく。 「キョウカ、あの白いのを先に叩いたほうが良さそうだ」 天風がジライのAI秘書に指示を出した。 「はい。マスター、上空から行きます」 後衛にいた巨大な鳥のモンスター、ロック鳥が飛び立つ。 前線を飛び越えて、白ペンギンに向かう。 バンバンバン、バンバンバン――。 バンバンバン、バンバンバン――。 しかし、赤ペンギンたちの射撃で、白ペンギンに到達する前に撃墜され、次々と塵になってしまう。 「イブ、ヘブンズワールドの切り離しは、まだできないのか?」 「すみません、クローンイブのセキュリティーがさらに深く浸透していて、そちらの対応にリソースをほとんど取られています。あと一工程だけだったのですが、進められません。五分だけでもクローンイブを停止できれば、すぐ完了するのですが……」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 47 第47話「救えなかったものたち」
/
by JIRAIYA
《迷宮オブロ地下第五階層最終ボス部屋》 『これにより、管理者がジライさんからホワイトキングさんに移りました』 ――負けたのか……。 『新管理者は、六十分以内に再構築の設定を行ってください。設定されない場合は、デフォルト設定にて再構築されます。なお、再構築されたマップは変更できませんが、モンスターと罠の設定はいつでも編集可能です』 「よいたろうさん、早くこちらに入ってください!」 天風が地下階段の入り口で手招きする。 「全員退避――」 「はい、マスター」 「はい、パパ」 「御意」 地下階段の入り口に全員ダッシュする。 バンバンバン、バンバンバン――。 赤ペンギンたちの射撃が容赦なく襲いかかる。 入り口までは十メートルほどだが、さらにボス部屋に十数体の赤ペンギンたちが入ってきて、銃弾の嵐になった。 全員が床に開いた入り口に飛び込み、階段を駆け下りた。 ――バタン。 最後に天風が入ると、その入り口が閉じた。 もう床には入り口の形跡すら残っていない。…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 48 第48話「囚われ組の帰還」
/
by JIRAIYA
《ギルドユニオン本部前》 ゆっきーさん、ダブルティムさん、たもつさんが、リスポーンされた桟橋からギルド本部に戻ると、ギルマス、ヤキスギさん、リブさん、ボタモチさんが、バスターペンギンたちに攻撃されていた。 それを見た三人は、バスターペンギンたちの背後から攻撃を開始。 「マリガン、セット、レベルファイブ、アースジェネシス――」 ゆっきーさんが叫んだ瞬間、バスターペンギンたちが消えた。 「えっ、何?」 その場にいた全員が、当惑して口々に呟いた。 《オブロ開発会社の第二研究棟最上階》 「よし――、ボスを落としたぞ。あとは、天風が作った隠しワールドの入り口を見つけるだけだ。そっちはどうなっている?」 網代は満足げな顔をして、誇らしげに言った。 「チーフ、やりましたね! こちらも三階まで制圧されましたが、奴ら諦めて撤退しました! 我らの全面勝利です」 「もう撤退したのか? ずいぶん諦めがいいな……何も仕掛けてこなかったのか?」 「三階と二階の端末にウィルスを仕込んできました。全部デフォルトのアンチソフトで削除されました。奴ら、ど素人でしょうから当然ですけど」 「……奴らはそんなものなのか……わざわざイブツ―(クローンイブの別称)への接続を開けていたのに……」 「チーフが作ったしっぺ返しのプログラムが、無駄になったのは残念ですね」 「……何か引っかかるな、……天風が絡んでいるはずなのに、あまりにも手応えがなさすぎる」 「天風ができるのは、所詮AI開発だけですよ。もともと、チーフほどのハックスキルなんてないんですよ」 「いや、天風を舐めないほうがいい……しかし、奴もロストチャイルドの隔離で、それどころじゃなかったのか。それとも、今日来たギルドの連中とは、連携が取れていない可能性もあるか」…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 49 第49話「覚醒」
/
by JIRAIYA
《オブロ地下第五階層接続領域プレイルーム》 よいたろうが活動限界に達し、睡眠状態に入ってから、丸一日が過ぎていた。 オブロ内では、その半分の経過時間表示になっている。 壁にもたれて眠っている、よいたろうの両脇を、マミとカエデが支えるように寄り添っていた。 その正面に対面するように、忠臣君があぐらをかいて座っている。 「そろそろ、十二時間になるでござるな」 「パパ、もうそろそろ起きるかなぁ?」 「うん、そろそろ起きるかもしれへんね」 「カエデ殿、気づいてござるか?」 「えっ、なんや忠臣君?」 「パーティーパネルに、ヒメミ殿の名がござらん」 「うん……」 「やはり気づいていたでござるか」 「マスターが気づかなええんやけど……」 「で、ござるな」 「マザーイブに聞いたら答えてくれるかいな……」 「よいたろうさんに代行管理権が付与されていますので、AIからの問い合わせにも回答できます」 カエデが尋ねる前に、イブが応えた。…

目覚めてみたら、XANAマスターになっていた件

Reborn As A XANA Master

第4章
/
Episode 50 第50話 前編「マスターをよろしくお願いします」
/
by JIRAIYA
《オブロ地下第十階層》 ホワイトペンギン網代は、ヒメミを恐れて、ボス部屋を脱出した。 そのまま拠点まで必死に走る。 「――くそっ! なんなんだよ、あいつは!」 クローンイブに構築させた廃墟ワールドは、現在、十階層に再構築されている。 その廃墟ワールドの中心にある建物が、第二研究棟からのログインする拠点となっている。 自分のデータが抹消されたら、ログアウトしても、廃人になる可能性がある。 拠点の最上階に戻れば、安全にログアウトできる。 「準備はできているか!」 イブゴーグルを装着した網代は、部下に大声で言った。 網代は、ログインして三十分以上経過しているので、イブゴーグルを着けている感覚が薄れ、オブロ内にいる自分が、本体のような感覚に陥っていた。 同じ部屋で、三メートルほどしか離れていない部下に、大声を上げる必要はない。 「……はい、準備はできています」 部下は、少し困惑した顔で答えた。 いつも自信たっぷりな、網代とは思えないほどの狼狽ぶりだった。   「イブです、よいたろうさん。ヘブンズワールドを分離しました」 突然、イブのアナウンスが、よいたろうに届いた。…
en_US